聖夜　後



「・・んじゃ、触っていー？」

一応、お伺いを立てながら、それでも既に流川の手は花道の躯に伸ばされ、不穏な動きを見せ始めていた。

「オイ！誰がいーってゆった！バ、バカ、んなトコさわんな・・・」

花道の胸元で蠢く指に焦ってその動きを止めようとするが、きゅ、と突起を摘まれ、息を詰める。
その隙を逃がさず、流川は両手で胸元を責めてきた。
片方の指でくりくりと乳首を捏ね回し、もう片方で押し潰したり引っ掻いたりする。

「や、やだって・・、んん・・・っっ」

花道からは既に熱い吐息が漏れている。元々感じ易い躯のようだ。

「・・カワイー」

ご満悦な流川は片手で乳首を弄りながら唇を耳元に寄せ、その内をぺろり、と舐めた。

「ひ、」

花道は背筋がぞくぞくと震える感覚を覚える。
流川はそのまま唇を下に下ろし、首筋を舐め上げながら片手も下ろし、下肢をさわさわと撫でた。

「オイコラ！ナニする気だっっ」

花道が上擦った声で抗議するが、力が入らないようだ。

「・・・初めてでもねーのに・・」

かあっと花道の顔がまた紅くなった。
一回だけ、流川とセックスした事がある。その時の事を思い出したのだ。

「う・・・アレはだなあ・・・」
「言い訳は聞かねー。テメーはオレとエッチした。だからもっかいスル。」

どんな理屈だよ！と憤慨するが、実際に流川に触れられて、それが嫌じゃない自分に気付いてもいた。
以前に流川と抱き合ったのだって、流川が好きだからいいか、と思ったのだ。その辺の自覚はちゃんとある、と思う。
今も恥ずかしいには変わりないが・・・

「ああっっ」

途端に花道が高い聲を上げた。
流川の指が花道の下肢の中心に触れたのだ。
そのまま指で先端を擦る様に触られて、花道のものはぐん、と質量を増す。

「やだ・・ルカワぁ・・・」
「嫌じゃねーだろ？こんなデカくなって、気持ちいーだろ？」
「やあ・・・」

流川が耳元で低く囁く声にも躯が震える。
お湯に浸かっている所為だけじゃなく躯が熱い。
流川の手が自分の躯を這い回る度にどんどん熱くなって、酷く過敏になっていく。
流川の指が花道の陰茎を探る度、それが質量を増してゆき、躯全体を甘い感覚が襲う。

「は、あ、あ・・・」
「・・キモチイー？」
「あ、や・・・」
「・・先にイッとくか」

今迄の緩やかな愛撫から一転して、両手を使って花道の陰茎を責め立てた。
裏筋をなぞり、先端にくりくりと爪を立てる。

「あ！ああっ、ああーー・・・」

堪らず、花道は躯を反らして勢いよく流川の手の中に若い精を吐き出した。

「はあ・・あ・・・」

脱力して流川に凭れ掛る花道の顎に手を添え、後ろを向かせてその唇を奪う。

「んん・・ふ・・・」

舌を絡ませ合う激しい口付けに、暫し二人は夢中になった。
やっと唇が離れた頃、花道は既にぐったりと流川に凭れ掛かっている。
流川も荒く息を吐き、それでも花道を立たせて湯船から上がり、もう一度シャワーを浴びて風呂場から出た。
自分の体をざっと拭き、花道の体をバスタオルで包んで、支える様にそこを出て寝室に向かう。

「どあほう・・布団敷くぞ。」
「ん・・そこの押入れに入ってる・・」

花道ものろのろと動いて押入れから布団を取り出そうとするが、

「オレがやるからいい。オメーは休んでろ。」
「んーんじゃ頼む。」

風呂場で少し逆上せた花道は流川に任せてそこに腰を下ろす。
まだ余韻が残っているのか、上気したままの肌で、とろんとした瞳で流川を見上げている花道に、布団を押入れから出してその場に敷きながらも、流川は心臓がバクバク言いっぱなしだった。
これから花道を好きに出来るのだ。
考えただけで全身が熱くなり、下半身に急速に熱が集まっていく。

（いや、焦るな。今度こそ二人で気持ちいーエッチをするんだ！！）

ともすれば暴走しそうな己を何とか押え付け、漸く布団を敷き終わった流川は、花道に声を掛ける。

「どあほう、布団敷いたぞ。」
「んー・・・」

花道はのそのそと這っていき、敷かれた布団にころん、と寝転がる。
その拍子に体を包んでいたバスタオルがはらりと落ち、上気した全身が露わになった。

（くっっ！！！）

流川はまたも慌てて横を向く。
風呂場での触れ合いと、湯で温められた躯は薄らと上気してピンクに染まり、僅かに残った湿り気が汗を掻いている様でなんとも艶かしい。
胸の中央で、花の蕾の様に乳首が紅く色付き、その存在を主張している。
そんな姿を目にするだけで、流川は鼻の粘膜と下半身をいたく刺激され、己を抑える事が難しくなってきた。
慌てて自分のバッグから、用意していた避妊具二箱（・・・）とローションを取り出し、枕元に並べる。
そして、がば、と花道に覆い被さった。

「ん・・ルカ、なに・・・？」

眠いのか、どこか舌ったらずに聞こえる掠れた声に、いよいよ流川は興奮し、その薄く開かれた、ぽってりとした官能的な唇にむしゃぶりつく。
唇をこじ開けて舌を忍ばせ、奥にある花道の舌に己のそれを絡ませ、唾液が零れる程に激しく口内を奪う。

「んんっ・・・、ん！」

激しく舌を絡ませる流川のそれに、花道は眠気も吹っ飛んで目を見開くが、やがて苦しいのか流川に縋りつき、段々と目元がとろん、と蕩けてきた。
いつか、自然に腕を流川の首に絡ませて口付けを交わし合っていた。

「はあ・・・」

漸く唇が離れた、と思ったら、流川はその唇を花道の首筋に移し、そこをきつく吸い上げる。

「あっ・・」

途端、甘い聲が漏れた。
流川は首筋に顔を埋めながらもその手は胸を這い回り、紅く咲いた乳首をくりくりと転がす。

「んやっ・・・」

びく、と花道の躯が竦んだようだった。
その様にまたも中てられた流川は、やや性急に唇を下に移し、片方の乳首に吸い付いた。
乳を吸う様にきつく吸い上げ、舌先で突付く様に舐め回す。

「やっ・・、ルカ・・・っ」

そうされる度に花道が熱い息を漏らす。
湯上りの温まった躯は常よりも素直に感覚を拾い上げる。
花道の頭は既に朦朧としていた。
流川は唇で胸元を愛しながらも片手をそろそろと下に伸ばし、下肢の中央で緩く勃ち上がりかけているものを掴んだ。
途端、組み敷いた躯が微かに揺れる。
そのまま掴んだものを握り、緩く上下に扱き上げる。

「あ！あ、あっ・・・」

花道が甘く聲を漏らし始める。
次第に流川は唇を下にずらし、腹筋をなぞり、臍を舌先で突付き、遂に下肢の中央に辿り着いた。
既に胸元への愛撫と手淫によって勃ち上がりかけているものにちゅ、と口付けた。そのまま先端を口に含む。

「やあっっ！」

花道が躯を震わす。
下肢に施される口淫は、前に躯を繋げた時にもされた事はあったが、その時は必死に抵抗した。
それまではそんな行為がある事すら知らなかったのだから、それを流川が自分にする、という事が信じられなかった。
今も抵抗を感じ、止めさせようと流川の頭に手を遣るが、それに構わず流川はひたすら花道の陰茎を唇と舌で責め立てる。

「やだあ・・・ルカワぁ・・はなせ、よ・・・」

そこで、やっと流川は顔を上げ、体をずらして花道の顔を覗き込み、その頬に軽くキスを送る。

「んなに怖がる事はねー・・オメーを気持ちよくさせてえだけだ。・・大丈夫だ。」

花道は涙で滲んだ目を薄らと開けて流川を見上げる。
花道を見詰める黒い双玉は真摯で、熱を帯びている様で、流川の想いを強く伝えてくる。

「・・ここで、オレがイヤだっつったら、オメーやめんのか・・・？」
「・・・オメーが本気で嫌なんなら、しょーがねえ・・・」

流川が目を伏せる。
花道ははあ、と息を吐いた。
ここまでやったら、止めるのは流川だって辛い筈なのに。
それでも花道の為に自分が引く、と言う。この、唯我独尊男が。
花道は微かに微笑んだ。

「・・・わーったよ。オメーに譲ってやらぁ。んなしょぼくれてんじゃねーよ。・・好きにしたらいー・・・」
「どあほう・・・」

流川を全部受け入れる、という花道に堪らなくなってキスをその唇に仕掛ける。
激しく貪った後、優しく額にキスを落とした。

「絶対にオメーを気持ちよくさせてやっから・・・好きだ、桜木・・・」
「・・約束、すっか？」
「約束する。」

花道はふ、と笑って流川の唇に、軽く自分のそれを押し付けた。
嬉しくなった流川は再び、花道への愛撫を再開した。
下肢の中央に顔を埋め、陰茎に舌を這わせ、ゆっくりと裏筋を舐め上げる。
その度に、それがびくびくと揺れ、先端から透明な蜜を噴き零す様さえ愛しい。
其処への愛撫を繰り返す内に、花道の表情も甘く蕩けたものに変わり、漏らす吐息も熱く忙しないものになってゆく。
口淫を施しながら、流川は片手を下肢の奥に伸ばし、小さな蕾の入り口に指先で突付いた。

「あ、・・」

少しだけ花道の躯が竦む。その先の行為をまだ覚えている。
一旦流川は花道から離れ、枕元にあったローションを取り出して掌に垂らした。
とろりとした粘り気のある液体が酷く淫靡に見える。
それを掌で人肌に温め、再び花道の奥の蕾に、濡れた指を埋めた。
其処は未だキツく、中々指がすんなりとは入っていかなかったが、何度もローションを塗り込め、入り口を揉み解していく内に次第に緩み、抵抗を感じずに指が入っていくまでになっていった。

「ん・・・、んん・・・」

花道は、身の内に指が潜り込んでいく感触に必死で耐えている。
不意に、流川が内で指をくい、と曲げ、腹側のある一点を擦った。

「ああっっ！！」

途端、花道が叫び、ぐん、と躯を撓らせる。

「ココか」

見付けたポイント、前立腺を流川は執拗に刺激する。

「はあ！あ、やああっっ」

甘い、痺れる様な感覚に耐えられず、花道はしきりに甘い聲を上げ続け、流川が口淫を施していた陰茎は完全に勃ち上がり、びくびくと震えながら蜜をたらたらと零し続けていた。
流川は再度それを口に含み、舌を絡ませながらも、奥の蕾に指の本数を増やして突きいれ、内でばらばらに蠢かす。
既に花道は聲を抑えられず、一方的に与えられるばかりの悦楽に、耐えられそうになかった。

「ルカワぁ・・も、やだ・・・」
「桜木・・もう、ダメ？」
「ダメ・・・なんとかしてくれよぉ・・・」

遂に花道は泣き出してしまった。
ぼろぼろと涙を零し、ひく、としゃくり上げる。
そんな姿に流川は心を突き動かされる。

（スゲーカワイー・・・）

伸び上がって花道の頬に口付け、その涙を舐め取る。
しょっぱい筈の涙が、何故かこの上なく甘く感じるから不思議だった。

（そういや、好きなヤツの涙は特別、て聞いたな・・・）

花道だから特別なのだ。
誰より好きで、恋焦がれた桜木花道の涙だから。

「ワリー・・すぐ何とかしてやっから・・・ちっと苦しいかもしんねーけど、ガマンしてくれっか？」
「うん・・・流川だから、ガマンする・・・」

涙で琥珀の瞳を潤ませて、真っ赤な顔でそんな事を言う花道が堪らなく可愛く思えて、流川はきつく抱き締めた。

「好きだ、たまんねー・・・優しくスル。オマエを傷付けたりはしねーから・・」

そして、名残惜しげに体を離し、自分の下肢で熱く猛っている陽根にゴムを着け、花道の脚を高く掲げて蕾を晒し、其処に押し当てた。

「挿れるぞ・・・」
「あ・・・」

流川はゆっくりと、慎重に自分のそれを秘所に潜り込ませていった。

「あああっ・・・」

流石に指とは違う質量の感覚に、花道の躯に衝撃が走る。
流川は焦らず、ゆっくりと時間を掛けて、花道の内に全てを納めていった。そこで息を吐く。
自分も花道も既に汗でびっしょりだった。

「・・・おい、大丈夫か・・」
「ん、思ったよりヘーキだ・・・」
「なら、動くぞ。」
「え・・？あっ、」

流川は花道の脚を抱え、腰を高く上げさせて自らも動き出す。

「はあっ！」

花道の背が撓る。

「桜木・・・」

熱く囁き、ゆっくりと腰を動かし、次第に動きを早めていく。
その度に蕾からぐちゅぐちゅと粘った水音が響き、その音に二人はいよいよ興奮の度合いを増していく。
流川は動きながらも、先程指で探り当てた悦楽のポイントを、陽根の雁の部分で強く擦った。

「やあああっっ！！」

途端、ぐん、と花道の背が撓り、高い聲が上がる。
背筋を信じられない程の甘い痺れが電流の様に駆け抜けた。
見付けたポイントを流川は突いたり擦ったり、としきりに責め立てる。

「やあっ！ルカ、そこ、だめえっっ」
「は、・・・たまんね・・・」

流川が其処を突く度に花道の蕾がきゅうっと締まり、熱い内壁が蠢く様に流川のものに絡みつく。
気を抜くと全部持ってかれてしまいそうな程だった。

「オメーん中、すっげイイ・・・」
「や、あ、あ、あっっ」

既に悦楽で正気を飛ばした花道はひたすら高く甘く嬌声を上げ続け、流川の背に腕を廻してしがみ付く。
流川が動く度に花道のものも互いの腹に擦られ、それもまた堪らない悦楽となって、限界が近付くのを早めていく。

「やああ・・、ル、カ、もう、やだぁ・・・・・」
「・・イキてぇか」
「も・・イクっ・・・」
「・・一緒、イク」

流川は更に花道の脚を開かせ、花道の前立腺を強く突いた。

「ああああっっ！！！」
「・・・・・・っっ」

絶叫と共に花道のものが弾け、互いの腹に白濁した精をぶちまける。
その衝撃に花道の蕾が強く締まり、それに堪え切れず流川も呻き声と共に、花道の内で絶頂に達した。
暫く二人は達した衝撃に体を動かせず、そのままの体勢で荒く息を吐いていた。
漸く息が落ち着いて、流川は花道の脚を下ろし、そっとその躯を抱き締める。

「・・大丈夫か・・」
「ん・・ルカ・・・」

花道がとろん、と余韻に潤んだ瞳で流川を見詰める。
堪らなくなって流川は花道の唇に深く口付け、貪る様に奪い合う。
唇が離れると、流川は花道に囁きかける。

「・・ヨカッたか」
「・・・うん、すげえヨカッた・・・」

花道にしては素直な告白に、流川のボルテージはまたも上がってしまう。

「そっか。なら、もっかいイイな。」
「え？・・ちょっ！」

気が付くと花道はうつ伏せにされ、腰を高く掲げられていた。

「こら！ルカワ！」
「ワリィ・・まだオメーを離せねぇ・・・もっとしてえ。」

言いながらも流川は、まだ硬さを保ったままの己の怒張を花道の内に突き刺す。

「あああっっ！！」

・・・・そのまま二人は時間も忘れて励み続け、漸く流川が花道を離した時には既に夜が明けていた・・・
翌日の練習に結局花道は参加出来なかった・・・


end